友達作るのが、相変わらず下手でした
僕は、その頃でも人付き合いが苦手で、どうやって仲良くなっていいかわか
らない。
で、取った作戦が、嘘をついて気を引くこと。
どういう嘘をついていたか、具体的には思い出せないんだけど、というか、
何が嘘かわからないくらい、嘘をつきまくってました。
嘘をつくと辻褄を合わせるためにまたウソをつかなきゃならない。
挙句の果ては、小学校で言うことと、家に帰ってから近所の子に言うことが
まるで逆なわけですよ。疲れますよ、これ。
僕は小心者で、クラスの中では目立たないやつでした。長付き合って見てき
た学校の連中は知ってるから、でかいことは言えない。
学校から帰ると、わざと明るくして学校でも人気があると言い、勉強もそこ
そこしかできないに、すごくできるふりをする。要するに知ったかぶりする
わけです。
まあ、そのふりのおかげで、勉強せざるを得ず、成績も上がってしまいまし
たけどね。
遊びは、虫捕りや魚捕りとか、自然相手のことが多かったですね。家の近く
で捕った小魚を学校に持ち込んで、丁度教室にあった金魚鉢で飼うなんて
こともしてました。
魚なんか持ち込んだから、怒られるかと思ったら、先生が褒めるわけです。
よく持ってきたねえ、皆にお土産でもってきたんでしょ、なんてね。
それで、先生金魚鉢の水なんか替えたり世話してくれて。
机の中で、アゲハチョウの幼虫を飼ってたこともあったなあ。カラタチの
枝を折って、そこに幼虫を一緒にしてね。丁度、父親が亡くなってしまっ
て、幼虫をそのままにして、学校を休まざるを得なかった。
学校に戻ると、おめ、ちょうちょ飼ってたべ。机開けたら飛んでいって皆
びっくりしたんだぞ。
やべえ、こりゃ先生に怒られるなあ。そう思ってたんですが、結局、何も
言われませんでした。事情が事情だっただけに、怒るに怒れなかったって
ことでしょう。